#11■量子と概念の世界
これまでの各項目をまとめると、次のように要約できます。
世の中のすべてが「原因→法則→結果」の図式に従っているわけではなくて、
「固有状態→作用素→固有状態」という形式の系も存在するということです。
そして、固有状態は作用素の本質を表します。 作用素自体ではなくて、作用素の「本質」を表すというところが重要です。
原子より内側の量子の振る舞いを規定する「波動関数」は、 ちょうど、この固有状態となっています。 そして量子の世界の本質を表す最も重要な関数です。
「原因→法則→結果」の図式では説明できなかった量子の世界のミステリーは、
量子を、「モノ」としてではなくて、「状態」と考えることで解決されます。
概念(コンセプト)も「モノ」ではありません。
それなら、「固有状態→作用素→固有状態」の量子数理を、
概念の世界にも、そのまま適用できるのではないか、というアイデアが生まれます。
量子系の固有状態として、抽象(コンセプト)の本質を可視化する方法です。
量子数理は、単に「原子より小さい物理の世界の法則」ではなくて、
より広く、モノ以外の、状態全般の法則であると考えてみるのです。
電子は「モノ」ではない、だから、モノのように因果法則には従わない。
電子の波動関数を知るには、因果法則とは異なる「量子数理」が必要でした。
「概念」というのも、「モノ」ではないという点で、電子と共通点がある。
ならば、量子数理を、概念の世界にも適用することができるのかもしれない。
・・・ということです。