#06■波動方程式とは?

波動方程式とは、いったいどんな形なのでしょうか。 発案した学者の名前を冠して「シュレディンガー方程式」と呼ばれるものですが、 それを最も簡単な形で示すと下図のようになります。 この方程式の解として、「波動関数」を得ることができます。

実際の方程式はもっと複雑ですが、最低限の要点だけを表示します。

波動関数→作用素→波動関数

「波動関数は、固有状態になっている」 というのが、この方程式の意味です。

方程式ですから、未知数を含みます。どれが未知かといえば波動関数です。どうやって解くのかと いうと、何でもよいので順番に適当な形の関数を作用素に作用させてみて、その結果が元の関数と同じ形になる かをチェックすればよいのです。
もちろん、ほとんどの場合、同じ形にはなりません。 しかし、たくさん試行を続ければ、いつか、このチェックを通過する関数に遭遇します。 そのとき、方程式は解けたことになります。 その関数が、求める「波動関数」です。

固有状態は本質を表します。固有状態である波動関数は電子の本質を表します。 固有状態になれないような関数は、電子の波動関数ではありません。

一言でいえば、「固有状態である波動関数を探すのが量子力学」なのです。

どんな関数であれ、何らかの作用素の作用を受ければ、変化する方が「普通」で、作用した結果が入力と一致 するというのは「特殊」な場合と考えられます。
それなのに、電子の波動関数は、必ず固有状態になることがわかっています。

「特殊な状態」のはずの固有状態が、量子の世界では「普通」になります。
「普通」と「特殊」がひっくり返る、この感覚は重要です。
従来の物理学が発展して量子力学に辿り着くのではなく、それまでの常識を逆転したような形になっています。

この「固有状態」という概念には、さらに深い意味が隠されています。  次へ >