抽象概念の可視化 (見える化) Visualization of concept

概念は、言語とは別物です。 言語では表現しきれない、もっと広いものです。

概念は、他の概念との「関係」として成立します。
例えば「サッカー」という概念は、「オフサイド」・「ゴール」・「サポーター」・「ボール」など、たくさんの概念と強い関係を もち、それらを部品のようにして成立しています。 そして、「量子力学」や「おいしさ」などの概念とは、あまり関係を持ちません。

一方、「ボール」という概念は、「球体」・「投げる」・「野球」・「サッカー」・「ゴルフ」 などと強い関係をもち、それらを部品として成立しています。

このとき、「サッカー」からみると「ボール」は部品に見えますが、「ボール」から見た場合には、「サッカー」が部品です。 これが概念の特徴で、モノとは違う点です。

自動車を分解するとエンジンがでてきますが、エンジンを分解して、その中から自動車がでてくることはありません。 モノは固定的な階層構造でできているからです。

しかし、概念は固定的な階層構造を持ちません。 「AはBの部分」であると同時に、「BもAの部分」であるという、多対多の関係性の束として「概念」は存在します。

この複雑な概念の構造を可視化するには、通常の手法では限界があります。
「Aの中にBが含まれる」と同時に「Bの中にAが含まれる」という状態は、無限循環に陥ってしまうからです。

ここに、量子力学系の数理を利用することで、無限循環を含んだ状態のまま、概念の構造を「見える化(可視化)」できます。

原子よりも内側のミクロな世界には、通常の物理法則が適用できません。
電子などの素粒子は、モノではなくて状態として扱うのが量子力学の基本です。

一見して無関係に見える「概念」と「量子」には、「モノとしては扱えない」という共通点があります。 量子の世界は、文系とも、意外な親和性を持っています。
これに着目して、無限循環を含んだ「概念の構造」を可視化(見える化)する、
それが、「量子数理による抽象概念の可視化」です。  

量子力学は難解ですが、その細部を知る必要はありません。
「ブランド」という概念を例に、文系への適用の実際を紹介します。 次へ >