#09■線形代数との深い関係

「線形代数」というのは数学の一部門で、行列の計算などを扱います。
線形代数と量子力学は、別の学問ですが、両者にはとても強い関連があります。

行列は、単に数が沢山並んだだけのものと思いがちですが、実は作用素と同じ働きをもっています。 行列は、あるベクトルを入力として受け取り、それを別のベクトルに変形して出力します。 行列に並んだ沢山の数字が、その変換規則を指定します。

行列はベクトルを変形する

ベクトルを行列に作用させることを、数学の世界では、ベクトルに行列を「掛ける」といいます。 その結果は「別のベクトル」になります。 行列を「掛ける」ことは、作用素を「作用」させることと、同じことです。

そして、特殊な場合に、掛けた結果が入力ベクトルと同じになることがあります。
この入力ベクトルは、その行列に対して固有状態になっているわけです。 このような特別なベクトルのことを、「固有ベクトル」と呼びます。

行列の固有ベクトル

ある行列の固有ベクトルを求めるための、上図のような形の方程式を、固有方程式と呼びます。 ご覧のとおり、この式は、量子力学の波動方程式と同じ型です。

式の形だけでなくて、意味も同じです。 固有ベクトルを求めるには、上から任意のベクトルを掛けてみて、 その結果が同じになるものが見つかるまで、どんどん探索を続けるのです。 そして、固有ベクトルを見つけることが できれば、それが行列のデータの「本質」を表してくれるという点も同様です。

行列の固有ベクトルは、行列の本質を「昇華された形」で表します。 次へ >