ブランド概念の可視化

クラウンという名前の自動車それ自体はモノですが、 ブランドとしての「クラウン」は、概念の集合体です。 「高級」「重厚」「伝統」「安全」など、たくさんの概念との関係性が 積み重なって、クラウンというブランドは成立しています。

一方で、クラウンにはあまり関係しない概念も数多く存在します。 この世に存在する全ての概念を、クラウンに強い関連を持つものと、 そうでないものに区分してみることにします。 ひとつひとつの概念を丸で表すことにして、 強い関連をもつものは黒丸、あまり関係の強くない概念は白丸で表示してみます。

クラウンの概念雲

実際には、概念全体を収める枠は、もっと無限に広く、丸印も無数になるのですが、 その広い世界の一角に、クラウンと関係の強い概念が集まって、雲のようなものができている、 といったイメージです。

他方、「ワゴンR」という別のブランド概念は、「燃費」や「スペース」や「乗り降り」などの概念と強く関係します。 ですから、ワゴンRの雲は、クラウンとは少し違う場所にできることになります。 たとえば下図のようになるかもしれません。

スカイラインの概念雲

それぞれの雲の中心(重心)を、そのブランド概念の「位置」だと考えると、ブランドの キャラクターが近いほど両者の位置は近くなります。 逆に、性格の異なるブランド同士は離れて位置する ことになります。

広い範囲の概念と関わりをもつ「大きな」概念は、自動的に「大きな」雲になりますし、 強烈なキャラクタをもつ「際立った概念」の場合には、小さく、くっきりとした濃い雲として可視化(見える化)されます。

しかし、このような方法で可視化を実現するには、前提条件が必要です。

多数の「概念ちゃん」たちが校庭に散らばっている状態として、上図を見直します。 それぞれの「概念ちゃん」は、各自一枚、表面が黒、裏面は白に塗られた大きな円形の パネルを持っています。そして拡声器から概念が聞こえるたびに、その概念が 自分に関係すると思えば黒の面を、あまり関係ないと感じれば白の面を前に掲げる、という約束にしておきます。
なお、いったん自分の位置を決めたら、その後は場所を動くことはできません。

例えばスピーカから「クラウン」という概念が聞こえた場合、「高級ちゃん」は黒を、
「スポーティちゃん」は白い面を出して反応する可能性が高いでしょう。

この方法でうまく雲ができるには、個々の「概念ちゃん」の位置が、とても重要です。 もし、それぞれが勝手気ままな位置に陣取っていたのでは、どの概念が聞こえても、黒い丸は 校庭の全面にランダムに広がってしまい、雲はできません。

それぞれの「概念ちゃん」が、どこに立つべきなのか、その位置が的確な場合のみ、 この校庭は概念可視化装置として機能します。

その「最適の位置」は、どうすれば求められるのでしょうか? 次へ >