#04■固有状態とは?

作用素は「作用する」のですから入力とは違うものが出力されます。 そうでなければ作用したといえません。 しかし稀なケースとして、入力と全く同じものが出てくることもあります。 作用するのを忘れたわけでなく、正しく作用したにもかかわらず、入力と出力が一致するのです。 例えば、カンパリを入れるとカンパリソーダを出力し、焼酎を入れたら酎ハイを出す作用素に、「炭酸水」を入力した場合です。

固有状態図

炭酸水の炭酸水割りを作ると、結果は炭酸水です。 作用素は正しく機能しましたが、出力は入力と同じです。 作用した結果が作用する前と同じものであるとき、この入出力のことを固有状態といいます。 固有状態は作用素によって異なります。 その作用素に固有の(独特の)状態という意味で「固有状態」と呼ぶのです。

入力と出力が一致

固有状態には重要な意味があります。それは、作用素が行う作用の「本質」が固有状態に表れるということです。 炭酸水が変化しないように見えたのは、それが炭酸水注入器という作用素の作用(炭酸水を加える)そのものと一致していたからです。

作用素の内部がどうなっているか覗くことが不可能な場合や、あるいは、変換法則が全く見当もつかない場合でも、 とりあえず何かを作用させてみる。 そして、それと同じものが出てくる状態に遭遇するまで、色々な入力を試行し続ければ、 いつかは固有状態を発見できる。そんな方法があるということです。 この方法なら、作用素の内部に立ち入ることなく、作用の本質が「外側から」分かる、ということになります。 単に入出力が一致するだけでなくて、作用素の作用の「本質」を教えてくれるので、固有状態は重要なのです。

「作用素」と、その「固有状態」の意味が分ったところで
準備は 完了です。 いよいよ「量子とは何か」に進みましょう。  次へ >