量子力学 ■Q&A■
「データ行列」が「作用素」になるとは、どういうことですか?
データ行列の例をひとつ、具体的に示してみます。これは、食品成分表のデータで、
各食品1gあたりに、どのくらいの栄養素が含まれているかを調べたものです。
これは、データの「行列」です。
このデータを、何か別の作用素への「入力データ」として扱えるのはわかりますが、この行列自体が「作用素」の役割を果たすとは、どういうことなのでしょうか。
まず、次のような「牛丼材料リスト」を用意します。
これは「牛丼」の主要な材料を表すものです。牛丼1杯には、白米120gと牛肉80g が必要で、マグロは不要なので0gになっています。
この材料リストを、先程の食品成分表「行列」に「作用」させてみます。
総エネルギーは(3.50×120 + 1.35×0 + 1.85×80)=568Kcalと 計算できます。たんぱく質やカルシウム量も、すべて同様に計算できます。
線形代数が得意な方は、この計算方法が「行列」の掛け算の計算方法と全く同じで あることに気付かれたと思います。
この結果を見ると、牛丼の材料リストが、食品成分表という「行列」に作用を受けて、 牛丼の栄養リストに変換されたことがわかります。
食品成分表はそのままにして、入力をマグロ丼の材料リストに変えてみます。
ちゃんと、マグロ丼の栄養リストに変換しています。マグロ丼は、牛丼と比べてエネルギーは少なく、 たんぱく質は多いようです。
どちらの場合も、「材料リスト」が「食品成分表行列」に作用して「栄養リスト」に変換されています。 牛丼の材料リストは牛丼の栄養リストに、マグロ丼の材料リストはマグロ丼の栄養リストに変換すると いうように、変換には「規則」が存在します。
つまり、「食品成分表行列」は、「材料リスト」を「栄養リスト」に変換する「作用素」として機能するのです。
このように、行列は、どれも作用素としての働きを持っています。